合同会社M&Sの投資を見る

みなさんこんにちは。個人投資家のグレアム投資ガチ勢(@gold_man_blonze)です。

私のPFに横浜丸魚(8045)という銘柄があります。この銘柄は、いわゆるネットネット株で、91億円の正味流動資産価値に対し、時価総額は54.5億円(会社四季報2019年2集より)と40%を超す上昇余地が残されています。

そんな横浜丸魚に対し、6.7%を持つ大株主である合同会社M&Sは、2019/1/30付で要望書を送りました。要望書を要約すると以下の通りです。 (以下に出す数字は要望書提出時点のものです)

横浜丸魚は92億円の投資有価証券に対し時価総額は55億円に過ぎない。投資有価証券のうち、コンコルディア・フィナンシャルグループの株式を62億円と、業績に影響を及ぼすほど保有しているうえに保有の合理性がない。また、社外取締役は1名いるが、東証の推奨(2名以上)を満たさず、1名はコンコルディア・フィナンシャルグループの前身である横浜銀行の出身者であり、ガバナンスが適切に機能しているとはいえない。以上のことから早急に社外取締役を追加で1名選任すべき。

どうやら合同会社M&Sはもの言う株主なようです。さて、要望書を送ったあとはどうするのでしょうか。恥ずかしながら、これまで機関投資家が何をしているのか調べたことはなく、興味を持ちました。前置きが長くなりましたが、機関投資家(合同会社M&S)の投資戦略を調べましたというのが今回の記事になります。

合同会社M&Sは資産バリュー投資家

公式Webサイトで合同会社M&Sの投資先が公開されており、2019/3/21現在は、6社に集中投資していることがわかります。

合同会社M&Sの投資先一覧(2019/3/21)

上の文言から、資産バリュー投資家であることがわかります。実際にこれら投資先のPBRを見ると、 2019/3/21時点で日本アンテナ(0.76)を除き0.6を大きく下回っており、うち2銘柄は0.4を下回っていました。日本アンテナについては、2019/2頃の株価急騰によりPBRが上がっており、2018/11時点では0.43と十分な安値だったため、こちらも資産バリュー株だったことがわかります。

また、いずれの投資先も時価総額は100億を切っており、サイズプレミアムとバリュープレミアムを狙っていることがわかります。

投資成績

現在の投資成績を見てみます。残念ながら公開されていないので、大量保有報告書から取得単価と現在の株価の差分を投資成績としました。

  • 投資金額 19億円
  • 投資損益 +2.95億円 (確定益含まず)
  • 損益率 +16%
  • 年初来投資損益 +2.96億円 (確定益含まず)
  • 年初来損益率 +16%

TOPIXが年初来+8%であることを考えると、圧巻ですね。注意として、日本アンテナの含み益が3.6億円(+61%)と突出しており、その影響を除いた5銘柄の損益率は-5%です。

投資戦略

合同会社M&Sは、投資先全社に要望書を出し、受け入れられなければ株式提案の後プロキシ―ファイト(議決権争奪戦)を行い、経営陣に圧力をかけています。我々個人バリュー投資家が、価格が価値に近づくのをただ待つのに対して、合同会社M&Sは、積極的に経営に関与し価格を価値に近づけているといえます。ここで、合同会社M&Sの要望書・株主提案時のロジックを見てみます。

  • 時価総額に対して多大な流動性資産(現金 and 投資有価証券)を有し、それが長期間 (10年等) 継続している (6社中6社)
  • 有利子負債を持ち、支払利息が業績を押し下げている (6社中4社)
  • 以上のことから有利子負債(あれば)を返済し、残る資産を株主に還元すべき (6社中6社)
  • 投資有価証券の内訳は、銀行が多く、社外取締役はその銀行からの出向者であり、ガバナンスが機能しているとは言えないため、社外取締役を解任ないし1名選任すべき (6社中3社)

株主還元で 価格の上昇と価値の減少を実現させようとしていることがわかります。ただ、株主提案の結果は、最大でも25%しか票を集められず、いずれのケースでも否決されています。おそらくですが、合同会社M&Sも多数票を得られるとは思ってもいないのではないでしょう。そのため、合同会社M&Sの出口戦略は、株主提案を実現し売り抜けるというよりは、得票数で経営陣に圧力をかけて譲歩を引き出し、売り抜けるというのが基本戦略なのではないかと考えています。

私も、合同会社M&Sの投資先である横浜丸魚に投資しています。もし横浜丸魚で合同会社M&Sによるプロキシーファイトが起こった際は、全面的に合同会社M&Sに協力し、株主還元の一助としたいと思いました。

まとめ

合同会社M&Sは、バリュープレミアムとサイズプレミアムを狙った投資を軸にもの言う株主として積極的に株主還元の要望を出しています。ただ、得票数が少なく株主還元の圧力をかけられているとは言いづらいため、合同会社M&Sと投資先が被る個人投資家としては、プロキシ―ファイトがあれば全面的に賛成し株主還元を行う一助となりたいと考えました。

投稿者: グレアム投資ガチ勢

バリュー・長期投資家。 長期投資があまりにも暇なためブログを開設。 Follow @gold_man_blonze

「合同会社M&Sの投資を見る」への3件のフィードバック

  1.  こんにちは、私もこの投資会社が上位10位の大株主になった銘柄を保有しています。
     この記事に上がった6社以外の株です、四季報に珍しい会社が大株主になっていて調べました。

     四季報等でM&Sが上位10位に入って、5%ルールに入っていない株を購入し、M&Sが5%超えてくるまで待つ、という戦術はどうか、と考えていました。

     でもM&Sが上位10位になった時点で、それなりの適正水準まで株価が上昇していて、低PBRの妙味薄くなってしまってる欠点ありそうですよね…

     自分は投資してる株がM&Sの買いで値上がりしたラッキー勢でした。

     M&Sは日本アンテナで上手くやってて、キクカワでも少し儲けて、先日の神田通信機のストップ高で爆弾を落として撤退❓疑惑(5%ルール報告待ち)とうまくやってる印象ありますね、塩漬けになってる銘柄もありそうですけどw

    1. こんにちは。私以外にもM&Sに注目している人がいたとは!
      ヒロさんが考案された戦術もかなり妙味がありそうですね。機関投資家の買いも十分カタリストたりえそうです。

      > でもM&Sが上位10位になった時点で、それなりの適正水準まで株価が上昇していて、低PBRの妙味薄くなってしまってる欠点ありそうですよね…
      これは少なからずありますね。私もいまの株価で横浜丸魚は買いたくありませんw
      FCFはマイナス、収益は安定しない、資産も銀行株一点張りetc…
      ただ、私が購入した時点では、正味流動資産価値は日本市場でも最安値水準だったため、
      M&Sが買ったあとも低PBRの妙味が濃いものが残っている可能性も少なからずありそうです。

      神田通信機は疑惑通り撤退しましたねw
      出口戦略をどう考えているんだろうかと思っていたのですが、かなりうまいやり方だったなという印象です。
      M&Sはありがたいことに投資手法を公開してくれておりプロの手法を学べるいい機会でもあるのでこれからも注目していきたいところですね!

  2.   神田通信機はストップ高に張り付いたIR情報が実はあまり良いものではなかった(設備費用負担の期ずれ+税金資産の組み入れ)けど、個人投資家が上方修正幅に釣られて大量の買い注文を入れてしまった(比例配分狙いで過大な買い注文も入れただろう)、それでM&Sが一括撤退する機会を与えてしまったのでしょうね。
     神田通信機が今期移行良くなるなら、あの高値でも買ったのは正解になるかもだけど、今期に繰り越された費用計上で今期の業績が低下する予想出たら悲惨だなぁと思ってみています。
    M&Sが保有していた7%分も市場に出て需給悪いでしょうし。
     要するに飛びついて買いを入れた人は良い発表と思っていたが、M&Sは中立or悪い発表と見ていた可能性があるのではと思うのです。(どっちが正しいかは今月の3月期決算発表で明らかになりますね。)

     この神田通信機のような事例が自分の銘柄でも発生したら、見逃さず売りましょうね、M&Sの保有株が市場に流れたらまた超低PBR(0.3倍台)に逆戻りと思います。

     最近地銀株について、自分も検討しています、10年後地銀の半分が本業赤字、なんてレポート出ているけど、足元の業績はそこそこ良いし資産は大量にあるものね…もう企業がお金を借り入れしないなら、地銀が株主の立場で低PBR上場企業に関わってハゲタカにならないかなぁなんてね。

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